市販車部門というカテゴリー。
市販車というんだから、売ってる車と同じなんだろう?
というのは想像できるはず。
そ、普通に売ってる車をベースにラリーカーに仕上げたものだ。
でもそれだけじゃ市販車部門では走れない。
簡単にいうと、エンジン、ミッション、デフ。
この3つにいっさい手を加えてはいけない。
そしてボディシルエットを変えてはいけない。
大きな規定ではこの4点を守らないと、
いくら市販車でも市販車部門では走ることができない。
この市販車部門は、その昔、マラソンクラスといわれてたもので、
つまり、基本スタートからゴールまで、何にもパーツを変えちゃいけませんよ。
特に先に上げた部分を交換したら、即刻このクラスから上のクラスに上げちゃうよ!
そういうルールのカテゴリーなのだ。
エンジンとミッションとデフといったら、
つまり一番市販車の中で耐久力が問われる部分。
これを交換しちゃいけないし、いじってはいけないのだから
それはそれは大事に走らなければならない。
なにせ1万キロ近くも、過酷な路面を走らなくてはならない。
ちょっとでも負担をかけて痛めてしまったら、もうおしまいなのだ。
だからドライバーは速く走ること以前に、これらのパーツを最後まで持たせて走らなくちゃならない。
ほかのカテゴリーの車を、バリバリのマラソンランナーだとすると、
市販車のラリーカーは、コーヒーカップのコーヒーをこぼさないようにしながらマラソンするようなもの。
もちろん、ほかの車がちゃんとしたマラソンシューズで走ってるところ、こっちはギャルソンのカッコした革靴で走る。そんな感じだ。
それでも、近年の車のクオリティが上がってきたので、市販車部門といえどもスピード化が進んでいる。
80年中盤に登場したポルシェやパジェロのワークスマシン並みの速さを、今の市販車部門は持ってる。
その話は以前のブログで実際の映像付きで解説してるので、見てほしい
Blog:ラリーマシンの進化
車の主要部分はいじれない。
いじれるのはフレームの補強、足回りの補強、ロールバーなどの安全装置や、450ℓもの燃料タンクの設置など。
つまりは補強がほとんどだ。
とくに足回りの強化がだいぶイメージを変える。
市販車とは比べ物にならないほどの、太くて長いサスペンションがフロントに。
さらにサブダンパーがもう一本。
リヤには2本のショックアブソーバー。
アーム類も市販品だけれども、ガチガチに補強されてる。
![SGT_3441](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/12/SGT_3441-270x180.jpg)
見にくいが、タイヤの奥にある黄色いスプリングがサスペンションだ。
![SGT_3437](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/12/SGT_3437-270x180.jpg)
エンジンルームでは燃料ポンプのホースが強化されてるのがわかる程度
![SGT_3444](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/12/SGT_3444-270x180.jpg)
左ハンドルのマニュアル車。ナビゲーション装置やロールバー、消火器がつくが、変更はその程度。
エンジンスタートだって、市販と同じキーレスエントリーだ
![SGT_3442](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/12/SGT_3442-270x180.jpg)
後ろの座席は完全に取り外されて、450ℓの燃料タンクが載り、
荷台にはスペアタイヤが4本載せられるようになっている。
後部に関しては内装をはがしてもOK
ドアのガラス類もすべてプラスチックに変更されてる。
こんな具合だ
例えばとあるステージを、本当のノーマルのランドクルーザー200と、このラリーカーが競争すると、
ラリーカーが5〜6時間でゴールするところ、ノーマルカーは多分12〜3時間はかかるだろうね.。
フレームの強化とサスペンションの強化だけでも、これだけ速くなる。
でも、駆動系はノーマルのままだから、速くなった分だけ余計に壊れやすい。
だからドライバーは壊さないように走らなければならないというわけ。
さて、この市販車部門に登場するライバルたちだが、
一番の有力チームは、スペインから参戦するカーナンバー340のJAVIER FOJ(ザビエ ホッジ)だ。
彼がドライブするのはTOYOTAのランドクルーザー155(新型プラド)だ。
ショートホイールベースの車両で、
パワーこそランクル200ほどないけれど、
軽量だから速い。
固い路面でなら200が有利だが、砂丘エリアではかなり手強い。
![<!--:ja-->IMG_0014<!--:-->](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/10/IMG_0014-282x180.jpg)
次に同じくTOYOTAのランドクルーザー200で参戦するベルギーのチーム
341 WAUTERS KOENだ。
彼らのチームはオートマの200を使う。
オートマは砂丘では走り方に工夫がいるが
オートマ設定の方がマシンにパワーがある。
![wiwkoenwauters-825_1](http://www.jun38c.com/wps/wp-content/uploads/2011/12/wiwkoenwauters-825_1-270x180.jpg)
ほかにも382 AMOR EDUARDOのハイラックス ピックアップ
フォルクスワーゲンのアマロック(ピックアップ)
NISSANのパトロール(日本名サファリ)などが参戦する。
でも、ほとんどはトヨタのランドクルーザーで、200、プラド、100という感じだ。
つい近年まではNISSANのパスファインダー(日本名テラノ)や
メルセデスベンツのMシリーズが参戦して、かなり強力な走りを見せていた。
ところが、モデルチェンジをしたことでよりストリート向けの作りとなり
市販車部門に耐えられる車じゃなくなってしまった。
そのため、今きちんと戦えるのはトヨタのランドクルーザーシリーズだけ。
つまり、トヨタ同士の一騎打ちという感じだ。
もちろん、市販車部門での連覇が最重要であることは確かだが。
そこはドライバーの欲として、総合順位もいいところを狙いたい。
しかし、上位クラスの車は、レース専用車両。
しかも、途中で壊れてもパーツをバンバン交換できる。
いや、壊れる前に交換してしまう。
そんなマシン相手に、一度も壊さず、丁寧に走りながら、戦わなければならないのは
正直しんどい(笑)
しんどいけれど、したたかに狙っていきたいよね!
でも今回は、総合で何番以内! とはいわないことにしてる。
今までそう言って総合順位がよかった試しがないから。
逆に言わない年の方が総合成績がいい。
だから今年は言わないことにした!
いよいよですね!皆様は大変でしょうが、見る方はワクワクしかありません、すみません!冬の寒さを忘れさせてくれるスケールの大きな冒険です。ファイト!