2011.04.04

歩き出せば景色は変わる

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昨日、六本木にある、SAVE JAPAN TVを行う六本木のピットスポップカフェに向かう途中、土屋武士選手から電話があった。

「今日さ、どんな感じになるか聞いてる?」

「いや、まったく聞いてない」

「だよねー。オレ、ちょっと不安なんだよ」

「何が?」

「ほら、ドライバーって、テンション高くなるとノリが良すぎて、行き過ぎちゃうからさ」

「あー、確かにね。どこかの業界でも、東京でイベントやったときに、笑顔でピースサインして集合写真写ってるのが非難されてるところもあったっけ」。

「やっぱそうなんだ。それが心配でさぁ。現場見てるから、見てない人とのテンションの違いが怖いんだよ」

「でもまぁ、その辺は寿一さんがうまく考えてると思うよ」

 

なんていう会話をしながら、実は会場入りしたんだけれど、そんな不安はまったくの取り越し苦労だったね。

集合写真ではカメラマンから笑顔を要求されたけれども、笑ってるつもりが、みんな全然笑えてない! 確かにこういうときにどういう顔していいのか、分からないものだよね。

 

それでも、

「見ている人も、見られない人も、被災者も、そうじゃない人にも、元気を与えよう!」

というコンセプトで番組が構成されていたので、とにかく、いつも通りの姿をみんなに見せられたことが、良かったんじゃないかな。

実際、オレもそれを言いたかった。

今回岩手に物資を運んだことで、現地の避難所をいくつか回らせてもらった。

そこで、オレがダカールラリーのドライバーだと言うと、多くの人々が笑顔で集まってくれて

 

「応援します!」

「今度車両持って来てください!」

「どうせ車両来るなら走らせてくださいよ!」

「校庭なんか自衛隊の車が走り回ってるんだから、今更問題ないでしょ!」

笑いながら話が盛り上がってくれるほど、そう言ってくれた。

 

そう、モータースポーツは、モータースポーツを知らない人々にも元気を与えることができる! だからこそ、オレたちはモータースポーツを続けなければ行けないんだって、強く思った。そして、彼らの笑顔に、オレ自身が勇気づけられた。

 

確かに実情は行政の問題もあるので、車を走らせるのはそう簡単な事ではないけれど、でもいつか、現地でモータースポーツのイベントが出来たらいいなと思った。

 

だから、Ustreamという形ではあるけれど、SAVE JAPAN TVで、いつも通りの姿を見せることができて、良かったんじゃないかなと思う。始めはぎこちない笑顔も、最後にはいつもの笑顔になっていたしね!

 

いや、いつも通りじゃないね。

 

何てったって4輪、2輪、オンロード、オフロード関係なく、いろんなジャンルのアスリートが集まったんだから、いつも通りな訳がないね。

 

その辺りは、集まった多くのアスリートのBlogに熱く語られているので、ここで今更説明するまでもないね。実際、Ustreamのアーカイブを見てもらえば、十分に分かると思う。

みんな熱すぎです。

 

そんななか、わたくし、一晩経って意外と落ち着いてます。

もう飽きたのか? いえいえ違います。

わたくし、ダカールラリーのドライバーなのです。

今回集まったアスリートのなかで、最もロングディスタンスの競技をやっているドライバーです。

長距離競技なりの戦い方と言うのがある。

2週間走り続けるダカールラリーは、一発の速さよりも、アベレージスピードの高さが大事。ペースを落とさず、車を止める事なく、それでいて高いペースで走り続ける事が、長距離レースの基本。

 

そこまではルマンなどのエンデュランス競技と同じ(出た事ないけど)。

 

でも、2週間も続くと、そこでは生活のリズムも大事になってくる。

2週間もレースの緊張感を保っていると、正直、精神的に持たないのだ。

だから、2週間のラリーの間は、特別な2週間ではなく、ごく普通の、日常の出来事として、過ごすようにしている。

 

砂漠も、一日800km走るのも、肉中心の食事も、特別な事ではなく、いつもの日常化にしてしまう!

そして、決して大地と戦わない。

熱かったり、寒かったり、砂嵐が来たり、予想以上に砂が柔らかくなったり、

自然相手の競技なので、予測できないことがたくさん起きる。

でもそれらと戦ったって勝てる訳がない。

だから、すべてを受け入れて、逆らわないようにする。

といってもこれが一番難しいのだけれど。

 

今回の大地震もそうだと思う。

 

自然が起こした猛威に逆らったって、勝てる訳がない。

 

だから、起きてしまったこの猛威を受け入れ、ともに歩んで行くつもりで行かなければならないと思う。

 

しかも、かなりの期間で!

 

阪神淡路大震災の時も、ジャニーズのJフレンズは6年も活動して支援活動をしていた。今回は、それ以上の期間のサポートが必要になるのは、容易に想像できる。

 

だから、これからは細く長く、今の状況に逆らわずに、生活の一部となって、サポートして行ければいいなと思う。

今はそういう心境です。

 

ですから、皆さんも無理せず、長くできるサポートをして行きましょう。

 

GTドライバーの星野一樹選手も言ってたよ

「僕らスプリントの選手だから、すぐ熱くなるけど、耐久レースだと思って頑張りたい」ってね。

 

最後に、みんなへのメッセージを一言、録画したのだけれど、収録終わったら土屋武士選手がオレのところにやって来て

 

「オレの台詞って聞いてた?」

「いや、聞いてないよ」

「やっぱり、モロかぶってるよ」

 

マジ!

チャリティーオークションにもレーシングセットを出品してます。値段がついてよかった! この品、もう二度と出せません。最初で最後の出品ですからね!

となりは同じくオークションにヘルメットを出品した吉本大樹選手。

 


カテゴリー: Diary

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